ローコードでここまでできる!CPaaS「Vonage」の「AI Studio」で電話アプリを開発してみた

ローコードでここまでできる!CPaaS「Vonage」の「AI Studio」で電話アプリを開発してみた

CPaaSという言葉はご存じでしょうか。
Communications Platform as a Serviceの略で、API接続で機能として電話やSMSなどが利用できるサービスのことを指します。

具体的な例で言いますと、パスワードだけではセキュリティが足りなくなってきた現代では、電話、SMSで受け取ったコード、またはアプリで本人確認することが一般となってきましたが、
その「2段階認証」といった機能を導入したいときに活用できるでしょう。

今回、KDDIウェブコミュニケーションズ様が日本でサービス提供されている「Vonage」というCPaaSを使ってどのようなサービスが出来るか社内でプロトタイプを作って見ようと言うことになったのですが、そこで利用した「Vonage AI Studio」は、なんと非エンジニアでもローコード電話アプリがローコードで作成できるんだそうです。

プロトタイプの概要

今回、「Vonage」を利用したプロトタイプとしてどんなものを作るか考えたのですが、
まず、「人材採用」の現場で使えるサービスを考えて見ました。
要するに、接客サービスなどの現場では普段、PCなどを活用するシーンが少なく、そこに従事したい方々にとっても仕事を探す際に、普段あまり使わないPCで、求人サイトのアカウントを作ったり、エントリーのためのメールを書いて送ったりするのは面倒だろうと言う仮設を立て、
それであれば、24時間いつでもすき間時間に電話1本でさくっと応募出来るアプリがあれば便利なのでは?と考えました。
同時に、人手不足で採用に困っている飲食店にとっても電話応対する担当スタッフを常設しなくとも24時間いつでもエントリーを受けられると言うことは、余計なコストをかけず、未来のスタッフ獲得チャンスを逃さずに済むと言うメリットになるはずです。

そこで今回、この2つを、CPaaS「Vonage」を使った自動電話応対アプリを作ることで実現することにしました。

まず、ジョブエントリー希望者が電話をかけると、自動音声でのガイダンスが流れます。
応募できるポジションを案内された後、キーパッドで番号を打つだけでシンプルに回答ができる仕組みです。
その後、名前、年齢、電話番号、勤務可能日など、必要な情報をガイダンスに沿って入力していけば、エントリーが終わります。
そしてそのエントリー内容は、整理された情報で採用担当の方へ送られます。

1件ずつ人間がアナログに電話対応した場合、話した内容から必要な情報を整理して記録する必要がありますが、
このアプリを利用してエントリーを受け付けた場合、採用担当には既に整理された情報が届くので、対応の手間も軽減出来ます。
技術ブログ画像
自動音声対応で完結出来るとは言え、応募者の中には「エントリー前にちょっと質問してみたい」など個別対応を希望する方もおられるでしょう。
その場合は、このフローを予め設計しておくことで、「オペレーターと話したい」と言う選択肢をお選びいただくことも出来ます。
つまり、なるべく自動化にすることで効率を上げることを目指すものの、個別対応を要望される方も取りこぼすことなく、きちんと任意の電話番号に転送することで細やかな対応も可能になります。

これにより、ユーザーにとっての利便性を保ちながらも、採用担当の電話対応コストを最小限に抑えられると言う形を取ることが出来ます。

動作イメージ

さて、今回プロトタイプ開発に使ったのは、VonageというCPaaSなのですが、その中でローコードで開発できる「Vonage AI Studio」 というツールだけで全部開発しました。
技術ブログ画像
Vonage AI Studioだとなんと、コードの知識なしで、最初から最後までドラッグ&ドロップで電話のエージェントが作成できます。
そのエージェントには、事前に購入した電話番号に紐づけることができます。

今回は、インバウンドコールのフローで作成しましたが、アウトバウントも作成できます。あとは、用意された「ノード」を使って、情報収集、スピーチ発言、情報分類などでエージェントのフローを決めていきます。

電話番号に電話をかけて、声やキーパッドでユーザーのデータを収集し、「パラメータ」に保存されます。
そのパラメータは、エンティティというカテゴリのようなものに定義や分類できるため、取得した情報をグループ化して、扱いやすくなります。
あらかじめ「インテント」を設定すると、AIがより簡単に文脈を把握し、正しいデータを登録できます。

返答がない場合や、インテントと違う返答があった場合は、リトライのメッセージなど、適したメッセージや行動を設定できます。

ノーコードツールとは言うものの、コードを加えられないわけでもありません。
カスタムコードでより適切にユーザーの意図を分析したり、Webhookというノードを使って外部サービスと接続したりすることができます。

例えば、今回開発したエージェントでは、ユーザーの名前をお伺いしますが、インテントでは「名前は・・・」、「私は・・・と申します」、「私は・・・です」とあらかじめ設定したので、「今日は雨が降っています」など名前と違いそう返答があった場合は、そちらを理解し、もう一度お名前をいただくようにエラーメッセージを流します。

同じく、ユーザーの年齢を収集しますが、カスタムコードで、年齢が100以上だと、エラーを流すようにしています。

また、基本的にフローは一つの方向のみで、前に戻ったり、先に進んだり、脱出はできないのですが、
例外として「コンテクストスイッチ」というのがあります。
こちらは、特定のインテントが検知されたとき、フローのどの場所にあっても、脱出してそのインテントに合ったフローに流れることができるノードです。

今回は、人間のオペレーターと話したい、というインテントを設定してみました。
決められたフローでは進められない、特殊な質問が出てきた、というのはフローのどこにあってもあり得ます。そのため、「オペレーターいますか」とユーザーがどんなときにおっしゃっても、フローから脱出して、実際の電話番号へルートする仕組みにしました。

Vonageを使ってみて思ったこと

Vonage AI Studioは、非エンジニアでも操作できるため、比較的に簡単にプロトタイプの開発ができました。

ノードをドラッグ&ドロップでつないで、エンジニアでも、非エンジニアでも、視野的にエージェントのフローがわかりやすいです。

スピーチも、入力した文字通りに自然な声で流れて、日本語でもいくつかの声が選択できます。

また、Vonageは海外発のサービスということもあり、日本語の聞き取りは英語よりも若干劣ると言う弱点もありましたが、Chat GPTなど生成AIツールと繋いだりすることでその辺りもカバー出来、色々と拡張出来ることもわかりました。

つまり、非エンジニアでも簡単にエージェントを作成できるのがポイントではあるものの、導入をお考えの企業のビジネスにあわせたスマホアプリやWebサービスとして開発することで、その利用用途もいろいろ広がりそうです。

ドキュメントも充実しているため、エンジニア不在の企業様でもご利用頂けるサービスですが、その初期設定などの手間の軽減と言うことでのご依頼はもちろん、
外部システムとの連携や拡張機能などのカスタマイズ開発などの面でも、私たちアンクシステムズが積極的にサポートさせていただきます。

この記事を読んでいただき、「CPaaSをうちのビジネスで活用してみたいんだけど?」と思って頂いたり、「Vonageを利用してこんなことは出来る?」と疑問に思われたら、どのような些細な事でも、お気軽にお問い合わせください。
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